箱崎白浜に元気を届けるお母さん

 箱崎白浜で「佐々栄商店」を経営する傍ら、2019年7月にオープンした民泊施設「御箱崎の宿」で宿泊者におもてなしをお届けしている佐々木育子さん。育子さんは現在、自分の育った箱崎白浜の街を活気づけるため、宿泊施設の運営に参画することを決意し、尽力しています。

現在のお仕事を始める前は、一階で商店を、二階で民宿を経営していた育子さん。東日本大震災の際に、当時運営していた民宿が津波で流されてしまいました。箱崎白浜も震災の影響を受け、育子さん自身も近所の親しかった友人を亡くされています。箱崎白浜では特に、働き盛りの世代の漁師たちが津波によって多く亡くなりました。育子さんは津波を実際に目の当たりにしており、当時の状況を「まるで灰色の壁が押し寄せてくるようであった」と振り返ります。波が家々をなぎ倒す轟音、海が渦を巻き、その中に大きな船が沈んでゆく様子など、今の静かで穏やかな箱崎白浜からは想像もつかないような惨状を実際に目の当たりにしました。

 震災の影響で、箱崎白浜からは人が減ってしまいました。震災を経験して心に傷を負ってしまったり、住居が流されてしまったり。慣れ親しんだ箱崎白浜の町や海岸も、震災や津波の影響で姿を変えてしまいました。当時は箱崎白浜から離れた仮設住宅で生活していた育子さんでしたが、箱崎の状況を見て「ここに店が無ければ大変だ」という思いから、自分でプレハブを購入し、箱崎の人たちのために「佐々栄商店」を開くことを決め、箱崎白浜に戻ることを決意しました。そんな中で、今回新たに民泊施設がオープンする話を聞いた育子さんは、以前の民宿での経験などを活かし、「私の力で地域に貢献できるなら」と手を挙げたのです。

現在育子さんが働く2019年7月にオープンしたばかりの民泊施設、「御箱崎の宿」は、「旧箱崎白浜へき地保育所」がリノベーションで生まれ変わった施設です。この施設は、三陸国立自然公園の入り口にある箱崎白浜の豊かな自然や、漁村ならではの食材や風景をを味わえる旅の拠点となることで、交流人口の拡大による観光振興を目的としています。育子さんは予約の受付や清掃、ベッドメイキングなど全般を担当していますが、特に料理に注力しています。「御箱崎の宿」で提供される食事では、漁村ならではの食材が使われた料理がテーブルを鮮やかに彩ります。旬の海の幸がふんだんに使われているだけではなく、地元の漁師さんたちの得意分野の食材を堪能することが出来ます。

育子さんは今後、箱崎白浜を「様々な世代の人たちで活気づけたい」とのこと。箱崎白浜は釜石市街地からは少し離れた場所にあり、美しい深緑色の海や豊かな自然、世話好きで温かい人柄の住民たちを有する地域。長く留まり、地元民と一緒に宿泊者と交流することによって、箱崎白浜の良さを知って貰い、その良さを知る人が増えることで地域の活性化に繋げられたら。」と話します。  震災で関わりを持てた人と今も連絡を取り合い繋がれていること、そして幅広い世代の人が宿泊してくれていることを嬉しそうに話して下さった育子さん。是非箱崎白浜の穏やかで美しい自然や文化に触れに、そして箱崎白浜の活性化に尽力してる育子さんに会いに、箱崎白浜の地へ訪れてみてはいかがでしょうか。