震災の記憶をつなぐ若き伝道師

2019年3月、鵜住居に新設された「いのちをつなぐ未来館」。この施設は災害から身を守ることの大切さを伝承し、防災学習の大切について改めて考えることのできる3つのスペースを有した施設です。東日本大震災当時の被害の状況を直接聞くことが出来たり、震災関連の書籍を読むことが出来たり、未来の釜石を創るには欠かせない「防災」について学ぶことが出来る施設です。

東日本大震災が発生したとき、のどかさんは中学3年生でした。脚が海の方に引っ張られるような地震の揺れから「海溝型の津波が来る」と直感しました。「逃げろ!」という声が聞こえ、とにかく走って逃げた、と当時の様子を振り返るのどかさん。さらに高いところに逃げなければならないことに気づき、小学生の手を引いて、国道沿いの裏山に避難しました。考えるよりも先に、身体が避難訓練通りに動きました。また、海岸で大きな揺れを感じたら、各自でてんでんばらばらに高台に走って避難しよう、という「津波てんでんこ」の教訓を守り抜きました。

菊池さんは現在、2019年3月にオープンした『うのすまい・トモス』「いのちをつなぐ未来館」での館内ガイドのお仕事をメインに、要望があれば「祈りのパーク」の案内もしています。「いのちをつなぐ未来館」には、災害学習の展示スペースや、図書スペースがあり、災害を学ぶためのスペースがあります。「いのちをつなぐ未来館」では、震災当時の状況をのどかさん自らお話ししながら館内をガイドすることもあったり、「震災の時の避難経路を実際に歩いてみたい」という要望も寄せられるため、その要望に応えて避難経路の案内をしたりしています。平日は来場者は地元の人や高齢者、企業のツアーや研修が多いですが、土日や夏休み中はツアーや団体など、県外から多くの方が参加されることもあるということです。

のどかさんは「様々な方向から多くの世代の人に災害や震災について興味を持ったり、知ってもらったりして欲しい。」と話します。そのため館内ガイドをするときは、自分の街について考えてもらえるように話をするように心掛けているそうです。例えば、若い世代の来場者には、自身の震災の経験を話した後、来場者自身の街にはどのような災害の危険性が潜んでいるのか、そしてその災害に向けての街にはどのような備えがしてあるのか、のどかさん自身が問いかけています。  のどかさんは今後の展望として、「いのちをつなぐ未来館」を世代間交流を通じた災害学習の場にしたい、とのこと。世代間交流を通じて守りたい命を増やすことが目標です。さらに、防災について考える場に女性の参加率を上げるために、日中や土日に「いのちをつなぐ未来館」で防災について考えるきっかけとなる会を開きたい、と今後に懸ける想いを熱く語りました。

東日本大震災の影響もあって、今は防災について興味を持ち、自ら進んで学ぼうとする若い世代も増えてきています。「防災」というと難しく思われたり、敬遠してしまう人たちもいますが、そのような人たちに向けてのどかさんは「防災についてあまり難しく考えないで欲しい」と言います。たとえどんなに小さくても、防災に関する知識をひとり一人が持つことが大切だと話します。