2011年3月11日。 東日本大震災が発生し、釜石市は津波により甚大な被害を受けました。
震災後の人口流出も相まって止まらない人口減少。 新たな「つながり人口」(いわゆる関係人口)創出の策として、「観光」による訪問を増やすことが、政策の柱の一つとして掲げられました。
ハード面の整備も進み、復興の希望としてのラグビーワールドカップの開催を直前に控えた2018年。釜石の観光を新たな視点でマネジメントしてほしい、という市の期待を背負って、株式会社かまいしDMCは設立されました。
釜石市の観光政策の柱は、釜石市全体を屋根のない博物館に見立てる「オープン・フィールド・ミュージアム」構想です。(株)かまいしDMCは、設立以来、この「オープン・フィールド・ミュージアム」構想の推進と、それに伴うまちの活性化や市民の住まう誇りの醸成をミッションとしています。
設立当初は社員2名と釜援隊2名のスタートでしたが、現在は20名を超える社員が、旅行マーケティング事業・地域商社事業・施設管理事業の3つの柱のもと、「オープン・フィールド・ミュージアム」構想の推進に取り組んでいます。具体的には、ミュージアムの「展示」として、震災で得た学びを体感できる研修プログラムや、漁業・林業・農業といった地域の生業を体験するプログラムを紹介しています。同じく、特産品も「展示」と捉え、岩手釜石オンラインショップでの販売や、ふるさと納税返礼品の整備・開発を行っております。地域の稼ぐ力を引き出すこれらの活動を通じて、弊社自体も独自財源を確保するに至り、現在は行政からの補助金に依存しない運営を実現しております。
また、事業推進の手段であるサステナブル・ツーリズムの取り組みは、日本で初めて「世界の持続可能な観光地TOP100」に選出されてから、4年連続で選ばれており、かつ日本では唯一ブロンズアワードも取得しています。設立4年目の2021年には、これらの実績が評価され「観光庁長官表彰」もいただくに至りました。
今後は、国内外からの誘客とつながり人口のさらなる拡大、そして定住促進まで先を見据えた仕掛けづくりに取り組むことで、地域DMOの役割を果たしていくとともに、地域を豊かにする観光地域づくりのあり方を模索していきたいと考えています。
代表取締役
河東 英宜